【感想】『実録!代々木怪聞』に参加したのでもう戻れません

全国150万人の”代々木にゆかりのある”皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。

今回はファーニャーが送る新イベント
『実録!代々木怪聞』に参加してきました! 

【ストーリー】
体験型脱出ゲームでお馴染みのファーニャーが仕掛ける
全く新しいジャパニーズホラー体験ができる企画をこの秋開催!

考察型 ×ジャパニーズホラー × イマーシブシアター

3つの相乗効果が織りなす
まるで本当にジャパニーズホラーの世界に入り込んだかのような
戦慄と身震いをあなたに...

*脱出ゲームではありません。
 


www.youtube.com


【プレイ方式】
タイプ :特殊型
体験時間:約90分
人 数 :1人~(今回は3人で挑戦)

個人的満足度★★★★★★★★☆☆ 8/10点 

ざっくり感想

先日とあるイマーシブイベントに参加してきました。
その名は『実録!代々木怪聞』。南新宿を拠点とする謎解き製作団体ファーニャーが贈る謎解きではないイベントです。


一見すれば普通の(?)ホラートークショーですが、次々に起こる不可解な現象、理性を失っていく参加者、渦巻く疑惑と陰謀、そしてある種の希望が顕現するラストまで、あっという間の体験でした。


近年はイベント「その怪文書を読みましたか」やAマッソのコント「滑稽」など、普段と変わりない日常を送っていたはずだったのに、小さな違和感がどんどんと膨らみ気づけばもう取り返しのつかないところに来ている!というようなコンテンツが話題であり、このコンテンツも正しくその部類に入ると思います。

www.rdbgjunction.com



そしてその後には戻れない度は、画面の向こうを眺めているよりも圧倒的にリアルなのです。
ドアの奥やカーテンの裏側で漏れ聞こえる音、乱雑に置かれた資料、登場人物の表情の微細な変化や一挙手一投足に至るまで、その全てが目の前で繰り広げられるのですから。
目を皿のようにし、全力で耳を傾ける私達も、もうとっくに戻れないところまで来ている異様集団なのかも知れませんね。



トークショーに登壇する人は全部で4人。
司会者、霊媒師、民族学者、ぽっと出のバラドルなど、それぞれ異なる視点、立場でイベントに参加し、物語を盛り上げてくれます。


個人的にたくさんの人物を追わなければならない周回前提のイマーシブが好みではない私にとって、本公演はフロアの規模感もキャパもギュッと凝縮されていて楽しみやすかったですね。


中でもメインで追っていたのは男性陣2人。
オカルト現象に対しやや否定的な属性を持つ彼らなんですけども、ホラー映画の楽しいところって、幽霊を信じていない人が心霊現象に遭遇してビビりながら虚勢を張るところじゃないですか。それでどうにもならない状況でベソベソしだすところじゃないですか。

きっとそういうものが見られるんじゃないかなと考えて追っていたんですよね。この予想は半分ぐらい当たりました


ただ、物語としての爆発力は女性陣のほうが強かったりして、民俗学者さんの背中を狙いながらサイドステップでアイドルのイベントをつまみ食いするなど、振り返ればかなり優柔不断なムーブになってましたね。


また、公演として明確な進行役がいないので、四次元の壁を突破する役目として「司会」の方がいるんですけれども、色んな意味で主役は彼でしたね。 トークショーにおける芸人然としたノリやスタンスと、こちらに語りけてくるちょっとメタ的なやり取り。めちゃくちゃ違和感しかないんですが、それを自身が醸し出す雰囲気でアリな空気にしてしまうのは、彼のパーソナリティがそれだけ際立っているからだと思います。

ストーリーについて

とにかく四者四様のイベントが各所で発生するため、1度で全ての物語を完全に把握するのは不可能。
一方である程度の設定説明や、メインストーリー的なものはわかりやすい形でこちら側に提示されるので物語体験が損なわれることはないでしょう。
特に中盤に起こる全員が全員別の都合で同じ行動を取ってしまうシークエンスは、切羽詰まっている状況にもかかわらずノリがコントだったので思わず吹き出してしまいました。

気になったところ①

公演コンセプトに考察をたくさんしてくださいね~という記載があったのでどれぐらいの量あるのかと若干ビビってたんですが、意外と少なめで安心しましたね。
気づいてないだけかも知れないけど。

物語として意図的に提示されない重要情報はポツポツで、それ以外は考察というよりも登場人物たちの背景を補完する要素だったので、まぁ知らなければ知らなくても良いと割り切っていました。

気になったところ②

私が参加したのは戦慄ナイトといういつもよりも演出が過激になるバージョンだったんですが、それもイマイチピンとこなくて。確かに後半から演出が盛り上がってくるし、ラストあたりの展開はとても好きだったのですが。
普通のバージョンとどこが違うのか気になるところです。


ただ、全体としてのクオリティは間違いなく高く、会場を後にするためエレベーターに乗るギリギリまでたっぷりサービスしてくれる心意気に感服しましたよ。
Xでの評判もうなずけます。



また今回の公演、私はお友達と参加したんですが終わった後に飲み屋で感想会をしたのがすこぶる楽しかったですね。
自分が見られなかった部分をほかの人に聞いたり、この顛末をどう納めれば良かったのかと言い合ったりと、それはそれは濃密な時間でした。
この時間を共有できただけでも来た価値がありましたよ。

おわりに

もうイベントは終了してしまったのですが、このイベントを更に広げるためにも、是非是非再演を期待したいところ。


あと謎解き製作団体なのに謎作らずに強度の高い公演が作れるファーニャーはやっぱり多才だなと思いました。