【感想】新感覚ホラー『ROOOM』に参加したけど運命は切り開けませんでした。

全国150万人の”ご近所トラブルに困っている”皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。

今回は7月末に開催されていたオンラインホラーイベント
『ROOOM』の感想です! 

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【ストーリー】
コロナ禍が吹き荒れ、外出が憚られる2021年。ホラーは再び新たな次元に到達する。
いま、未知の恐怖はスクリーンを離れ、あなたの部屋に、あなたの手元に、ダイレクトに入ってくる。


舞台はありふれたマンションの一室。越してきた新婚夫婦。妻のお腹には新たな命が宿っている。
住民は優しく、申し分のない新生活。唯一の不満は、夜中に上から響く怪音。「ドン、ドン、ドン」と床を叩くような音が上の階から聞こえる。
しかし、上階の住人は心当たりがないという。この音をきっかけに、幸せな生活は音を立てて崩れ始める。
・・・私の部屋に恐怖が落ちてくる。この部屋が、変なのか?それとも――。



www.youtube.com

【プレイ方式】
タイプ :オンライン型
人 数 :最大70人

個人的満足度★★★★★★☆☆☆☆ 6/10点 

≪一言≫
アスミック・エースが贈る新たな恐怖体験イベント。ガチの映像パートとシステムの功罪

未知の恐怖に挑む新感覚ホラー「ROOOM」

自宅にいながら身の毛もよだつ体験を味わえるオンライン型のホラーイベント
コロナ禍の中で生み出されたこのコンテンツは昨年からその勢いを増し、あの手この手で私たちを恐怖のどん底に陥れてきます。


今回挑戦した『ROOOM』もそんなオンライン型公演のひとつ。
制作は『リング』『スクリーム』『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『ソウ』など数多くのホラー映画を手掛けているアスミック・エースが手掛けています。
このロゴに見覚えがある人はきっと多いはず。
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そんなアスミック・エースが『[新たな恐怖][新たな仕掛け][新たな体験]で未知の恐怖に挑む新感覚ホラー』と謳っているわけですから、これを逃す手はないと7/31の19:30~の回に参加を決意。
私自身、これまではお化け屋敷を手掛ける団体のオンラインイベントばかりやっていたので、映像畑からのホラーイベントのアプローチはどんな違いがあるんだろうと楽しみにしながら当日を待ちました。

ホラームービーとしてのガチさ

いよいよイベント当日。
事前に配信されていたメールに記載されていたURLから映像サイトVimeoに接続。
画面には本日使用するLINEオープンチャットへのQRコードが記載されていました。
飲み物を用意し、部屋の電気を消し、PCのサウンドをヘッドホンに切り替えたらいざオープンチャットへGO。


私が入った時は既に20名ぐらいの方が参加されており、それぞれ挨拶や意気込みを述べていく流れになっていた。
私もそれに倣い一言コメントを送ったりしていたのですが、その間にもモリモリと増えていく参加人数。最終的には70名近くの参加者が一堂に会すなかなかに凄い状態に。そして映像がスタート。


ありふれたマンションの一室に越してきた新婚夫婦。その生活をカメラに収めるカメラマン(夫の大学の同期でジャーナリストっぽい?)との会話というシチュエーションから物語は始まります。


映像は全体的に色調が暗く、幸せいっぱいの新婚生活のはずなのに初っ端から不穏な空気が満載
そんな「ホラー映画あるある」を思いながらふと登場人物を見ると、奥さん役に生駒里奈さんが配役されているではないですか!カメラマンも秋山ゆずきさんだし。
事前に役者の情報を入れてなかったので、本当にびっくり。

キャスティングのサプライズに戸惑いつつも、アスミック・エースの「今日はガチで行きますよ」というメッセージが感じられめちゃくちゃテンションが上がりました。


そして物語は夫婦の新居の上階から「ドン、ドン、ドン」と床を叩くような音が聞こえたのを境に徐々に狂いだしていきます。
ただでさえ生活環境が変わり、怪現象が続くとなれば身重な彼女にかつてないストレスがかかっているのは容易に想像がつく。


加えてその怪異に直面しているのが彼女だけであり、夫との仲も次第にギスギス。
彼も彼なりに彼女を労わっているつもりなのですが、演出と切り取り方で完全にモラハラ夫に成り下がっているのが面白い
カレーの食べ方ひとつで「あ、こいつはダメだ┐(´д`)┌ヤレヤレ」と印象づけられるのはさすがの一言。幽霊の恐怖と同じぐらい人のヤダみや怖さがたっぷり描かれています。


また、演出面で素晴らしかったのが音響関係
事前にヘッドホンでの視聴をオススメされていたのですが、劇中の様々な場面で立体音響が使用されており、ものを探すときのガサガサ音や人が話しながら周りを歩く音など、まさにその場にいるような臨場感が味わえました。

もちろん緊張をあおる不協和音や幽霊が登場する時のおどろかし音などもあり、ホラージャンルのツボをしっかりと抑えた出来で、さすが映画チームの作った作品だなと感じました。


そんな感じでムービーパートは非常に楽しめたのですが、このイベントの肝はムービーパートとは別の場所、オープンチャットにあったんです

映像と現実をつなぐ心霊チャットルームの功罪

冒頭に書いたように、『ROOOM』に参加した人はLINEのオープンチャットに参加しながら映像を見ていきます
さながら実況中継のノリで感想やツッコミなどを共有していく私たち。スマホの向こうに確かに誰かがいる。自分の部屋には誰もいないけど、誰かと一緒に見ている不思議な連帯感はとても魅力的で良いシステムだったと思います。


サイトの注意事項にも「他の視聴者との交流が作品価値を高める」と書かれているので、制作陣も狙いがあったのでしょう。このイベントが参加型であることをしっかりと表現できていたと思います。



その一方でLINEのオープンチャットというシステムがこの公演とうまくマッチしていないなと思う場面もありまして。

というのも、オープンチャットはその画面を開いているあいだは画面の更新がされなくて、1回抜けないと最新情報を取得できないっぽいんです。
物語の序盤で意味ありげに何かが映し出されても誰も何も言わないので「まだ驚く場面じゃないのか?」と思っていたんですけど、ふと画面を切り替えたら怒涛の勢いで更新がされたので、そこで初めてオープンチャットの仕様を理解しました。

先ほど実況中継と書きましたが、完全にリアルタイムじゃなかったのが残念でしたね。
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もう1つホラーや謎解き含め様々なイベント・公演に参加している自分として残念だったのはこのイベントが70人もの大人数で開催されているということ。
明確なネタバレは伏せておきますが、参加型・インタラクティブ性を全面に出したイベントにおいて、70人が同時にあれこれするのは正直厳しく、同然思っていることもバラバラな状態。私の意思も通知の波にかき消されてしまい、個人の無力さを痛感しました。


さらに私たちの一挙手一投足は神の気分次第でいかようにもとられてしまうのも参加側としては不利だなと感じるところ。
ぶっちゃけ参加上限をもっと絞った方が良かったんじゃないでしょうか。各回10人とかね


後味の悪いエンディングやその後に分かる裏話を見るに、結論ありきのストーリー展開・システム構築だったとしか思えません。
制作陣の意図自体は理解できますし、現代社会の在り方や”ありがた迷惑”という言葉を痛烈に皮肉ったオチは個人的には5億点あげたいぐらい好きなのですが。うーん難しい。



ざっくりまとめると、映像作品としては非常に楽しめたものの体験イベントとしては荒い部分が多かったなという感想でした。
ともあれ自宅にいながら刺激的なエンタメに触れられる良い機会になりました。
第2弾もぜひ開催してほしい


と思ったら8月の公演が発表されたみたいです!私の代わりに彼女の運命を切り開いてください!