全国150万人の”物質図鑑をお持ちの”皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。
今回はオモコロストアで販売されている
『謎解きゲーム〜失踪事件のあった地区の回覧板〜』の感想です!
【ストーリー】
雨穴が作った謎解きゲームが登場しました。ぜひ挑戦してください。
※プレイにはスマートフォンが必要になります
【プレイ方式】
タイプ :持ち帰り謎(ネット使用)
制限時間:無制限
人 数 :1人~
回覧板から始まる物語ってなに?
このキットを手に入れて改めて思う。
果たして回覧板を本当に日常で使っている人はどれだけいるのだろうか。
幼少期より引っ越しが多く、それなりの人生年数を歩んでいる私ですら自分の手元に回覧板がくるというカルチャーに遭遇したことは片手で数えられるくらいしかないし、便宜上世帯主となってから主体的に関わったことは1度もない。
これは私自身が比較的都心に住んでいるからかもしれないけれど、他者とのコミュニケーションがネットに移行している現代ではほぼ色褪せた文化だと思っている。
そんな中で自分の手に渡ってきたこの青いバインダーは、さも見慣れた光景ですよねとこちらに顔を向けているが、私にとってはこれから始まる非日常への入り口にしか見えない。
覚悟を決めて確認欄に自分の名前をサインし、前へ進むしか無いのである。
『謎解きゲーム〜失踪事件のあった地区の回覧板〜』はネット界隈で一番、誰もがクオリティの高い似顔絵がかけるライター雨穴さんのプロデュースする謎解きキット。
彼の物語は基本的に雨穴さん自身が謎と対面し、協力者とともに事実を暴くのが基本プロセスですが、このキットでは私たち自身が主人公として、発端となった人物とともに謎と向き合っていくことになる。
世界観の持ち味である、一見取るに足らない情報から染み出す違和感を積み重ねた先にある恐怖がバッチリ再現されている。
回覧板に挟まれたモノクロのお知らせたちはよくあるチラシですし、確認欄を見る限り何人もの目をスルーしてきていますから、違和感に気づくのはなかなか至難の業でしょう。
そこで本作品では物語の進行と解答入力をネットでおこなうシステムを取っています。
謎解きに詰まった場合でもヒントが段階ごとに用意されているので普段謎解きに親しんでない人も安心して遊ぶことができる。
ちなみに解答サイトの母体がオモコロなんですが、普段読んでいるサイトが全く違う使われ方をしていてかなり新鮮な感覚だった。
まぁネタで企画記事の下書きを公開しているくらいだから何でもありなのかもしれない。
謎解きについても雨穴節は健在で、物語の語り口調はいつも見ている記事そのまま。あの可愛らしい声が勝手に脳内で再生されるほどである。
そんな中でいつもの記事以上に主体的に謎と向き合っているものだから、少しずつ私自身が雨穴に変わっていくと錯覚していくのです。
さっきまでパジャマだった全身がタイツとなり、気づけば無感情無着色のマスクをつけている。
ウクレレとリコーダーを持って謎ダンスを踊る日も近いのかもしれない。
不透明な話
物語は一応の決着をみますが、冷静に考えると説明がされてないことも多い。
特に人物関係・動機については、「なぜ」と思うことばかりで、まだまだこの物語を消化しきっていないのかもしれない。
そんな余白が多分に含まれているのもこの作品の魅力なのかも。
雨穴ワールドを自分で解き明かしていくというは非常に楽しかったので、次回作がつくられるといいな。