【ボードゲームレビュー】TWO ROOMS

全国150万人の"トマトジュースが好きな"皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。
今回は断片的な情報から場の状況を読み切り、吸血鬼住まう館からの脱出を目指す2人専用協力ゲームのご紹介。

『TWO ROOMS』

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【ゲーム概要】
TWO ROOMS は、2人用の協力型ゲームです。
プレイヤーは交互に目を閉じて、2つの部屋のどちらかにキャラクターを1体ずつ入室させます。
キャラクターの中には吸血鬼がまじっており、入る部屋や入室の順番を間違えると負傷者が出るかもしれません。
覗くたびに変化する部屋の状況から事態を推測し、キャラクター同士の力を合わせて吸血鬼の主「マント」を倒し、 「ニーナ」を救い出すことを目指します。

【プレイ環境】
人数:2人
時間:15分
年齢:10歳以上


≪一言≫
パートナーの思考を読み取り吸血鬼から少女を救え!

ざっくりプレイ方法

1. プレイヤーは向かい合わせに座る
2. 2人で話し合い、挑戦する難易度を決めゲームスタート
3. 手番プレイヤーではないプレイヤーは、声を掛けられるまで目を閉じる
4.手番プレイヤーは山札からカードを1枚引く
5.引いたカードを赤・緑のどちらの部屋に入れるか選択し、入れる
6.入れた部屋の中にあるカードを全て参照し、数字の小さい順から効果を適用する
7.適用後部屋を閉じ、相手プレイヤーに対し声をかけ、目を閉じる
8.相手プレイヤーは目を開け、4~7の行動を行う
9.ゲーム終了条件を満たし、ニーナを発見できればプレイヤー2人の勝利

霧の深いの館を探索するTWO ROOMSとは

『TWO ROOMS』ゲームマーケット2020秋に発表された2人専用の協力ゲーム。
少人数かつゲーム中は意思疎通にルール上かなりの制限が掛かっているため、コロナ禍においても非常にプレイしやすいゲームなんじゃないでしょうか。
ゲームデザインはYUTRIOさんが手掛けています。


こちらがパッケージの表面。
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2枚の扉が描かれたシンプルなデザインながら、ゲームの特徴である 可視範囲の狭さと不穏さが見事に表現されています。


こちらのパッケージは筒状になっておりまして、スーッと引抜くと箱が登場。
ゲーム中に使用する緑と赤の扉が表面と裏面に書かれています。
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余談ですけど、箱までコンポーネントにしてしまうゲームって「隅から隅までリソースを使いきってやるぜ!」といわんばかりの製作者の心意気が感じられて良いですよね。


内容物は登場人物の描かれたキャラクターカードが15枚と負傷者エリアカード、挑戦難易度を選ぶレベルカード、ルールブックが付属。
キャラクターカードは人間陣営吸血鬼陣営に分かれており、色も青と赤で分かれており判別しやすくなっています。

ほとんどのキャラクターには固有のスキルがあり、これらを駆使してカードの移動や除外を行います。
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人間陣営はこの館に迷い込んでしまった5人の学生と2人の警察官。吸血鬼陣営はこの館に住まう6人の吸血鬼。
挑戦するレベルによって必要なカードをピックアップしましょう。

どことなくカートゥーンっぽいデザインで雰囲気いいですよね。
サマリーカードを手元に置き、準備が完了したらゲームスタートです!
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扉の向こうにいるのは人か、吸血鬼か

まず手番プレイヤーではないプレイヤーは声をかけられるまで目を閉じます。
目を閉じたのを確認したら、手番プレイヤーは山札からカードを1枚引いて確認します。
特に時間制限はないので、これからの展開を予想したっぷり悩みましょう。


その後引いたカードを赤いドアの部屋か緑のドアの部屋、どちらか1つを選び入れます。
この時、選んだ方の部屋の中にある全てのカードの能力を確認し、数字の小さい順に適用していきます。
基本的に吸血鬼陣営の方が数字が小さく、先制攻撃を仕掛けてくるので注意が必要です。
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全てのカードの能力を適用したらカードを裏向きにして部屋を閉じ、目を閉じているプレイヤーに声をかけます。

この時かけるセリフは3種類の内どれか。
どのカードも負傷者エリアへ移動させなかった場合に使用するクローズ
マントを負傷者エリアへ移動させた場合に使用するエスケープ
マント以外のカードを負傷者エリアへ移動させた場合に使用するブラッド


このセリフは相手プレイヤーに現状を伝えられる唯一の手段であるため、しっかりと発声しましょう。
この行動を下記の終了条件が満たされるまで繰り返します。


終了条件は3つあり、救出対象であるニーナが負傷者エリアに行ってしまった場合はその場でゲームに敗北します。
また、手番終了時に山札カードがない場合も同様に敗北します。

逆に吸血鬼サイドであるマントを負傷者エリアへ移動させた場合、
最終局面のニーナ探索フェイズへ移行します。


ニーナ探索フェイズではニーナが「赤の扉の部屋」「緑の扉の部屋」「山札」のどこにあるか宣言し中身を確認します。
このとき宣言と確認を行うのはマントを負傷者エリアへ移動させていないプレイヤー。
マントを負傷させたプレイヤーは祈るほかないのです。


宣言した場所にニーナがいた場合、無事に館を脱出させたとしてゲームに勝利
もし宣言した場所にニーナが居なかったら、ニーナを見つけられなかったとして敗北します。

プレイしてみて

交互に手番をおこない自分の手番以外は目をつぶっているゲームの性質上自分が把握できる情報は全体の半分しかなく、毎ターン手探りしながら最適解を導く様子は薄暗い館をわずかな光を頼りに探索するゲームデザインとピッタリ。

常にハラハラドキドキが付きまとう、静かながら非常にエキサイティングなゲームが楽しめます。


ニーナを救出するためには吸血鬼のリーダーであるマントの撃退が必須だが、マントを撃退できる能力を持つキャラクターはルイとジョージの2人のみ
加えてジョージはエマとセットでないと効果を発揮しないという中々に厳しい条件。
そのくせマントは部屋に3人以上人がいればチューチュー血を吸って戦闘不能にしてしまうため、手順を誤るとあっという間に3人が負傷させられてしまい詰んでしまう。

マントを序盤で引いてしまうと一気に難易度が上がる なと感じましたね。
その分1回のゲーム時間が15分程度と短いので、次こそは!と繰り返し遊べるのは良かったです。


また、両陣営にいる対象となったカードを移動させるスキルが曲者で、いると思ったキャラが次のターン居なかったり、とりあえず危険なキャラを退避させようと部屋に入れたら効果で震源地に向かってしまったりと、ロジックの枠を超えたハプニングをいかに制するかがキモ。
私はなんどもアリサに泣かされました。


難易度は4段階ありますが、私たちは1時間かけてようやくレベル2までクリア。
レベル1でも歯ごたえのある難易度が待ち受けていますよ。

よりストーリーを深く知るために

そんな感じで『TWO ROOMS』は繰り返し遊べるゲームなため、「なぜニーナが館にいるのか」をはじめとするストーリーはゲーム中語られることはありません

その為本ゲームには ゲームの前日譚・後日譚が付属されています。しかも冊子で!すごい!
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これを読めばより世界観に没入できること間違いなしでしょう
(増えた謎もちょっとあったけど)。


というわけで、 ゲーム性もストーリー性も高い水準でまとまっていた『TWO ROOMS』。
買って良かったと思えるボードゲームでした。


現在はなかなか入手経路が限られているみたいですが、気になった方はぜひチェックしてみてください。