【感想】オバケンコラボ公演『鈴哭ノ女』で、命をかけたかくれんぼをした話

皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。

今回は方南町お化け屋敷オバケンで開催されていた
特別コラボお化け屋敷『鈴哭ノ女』に参加してきました!

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【ストーリー】
最近、眼球が破裂した遺体が相次いで発見される
奇妙なことに 遺体で発見された人は皆 「息絶える直前に何かに怯えていた」 様子だったという
この不可解な事件についての記事を 先輩記者の間宮と共に作成することになった Y澤編集部新人記者のあなた
先輩の間宮はこの一連の事件について 前々から調べているようだった

「この事件には唯一の生き残りがいる」

そして、間宮とあなたは 唯一生き残った人物「マツザキ」に取材のアポを取ることに成功 初めての仕事だ。いい記事を作ろう。
張り切って「マツザキ」の家へ、間宮と共にあなたは向かう



【畏怖咽び家×シライサン 鈴哭ノ女】オバケン

≪一言≫
恐怖のハイドアンドシーク。シライサンから逃れたくば、祈れ

最恐×最凶 『シライサン』コラボ

『鈴哭ノ女(スズナキノメ)』は、2020年1月10日から公開されている映画『シライサン』と、東京都は杉並区方南町にあるお化け屋敷『オバケン』がコラボレーションした恐怖のイベント。オバケンはこれまで様々なイベントやタイアップを行ってきましたが、まさかホラー映画とコラボレーションするとは驚き。


私は昨年オバケン友達に誘われてこのイベントに参加することを決めたのですが、鈴哭ノ女を100%楽しみたかったので、事前に映画『シライサン』もちゃんと鑑賞しましたよー。
結果鈴哭ノ女の方が100倍怖かった です。映画はね…ある意味楽しめたのですが反面激萎えする演出が多かったのが残念な感じ。素材はいいと思ったんですけどね。


唯一の生存者のもとへ

イベント当日、方南町駅のいつもの場所で集合し、最近実家より帰っているあの家へ向かいます。いつものオバケンと違うのは、表札におおきく「松崎」と書いてあるところ。一気に松崎さんのお宅な雰囲気がでますね。

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到着後に書かされるいつもより文面の多い誓約書が、この企画の過酷さを予感させました。


玄関前で待っていると、先輩記者である間宮さんと合流。間宮さんは原作にも出てくる重要人物ではありますが、このイベントにおいては我々を導いてくれる存在。大いに頼っていきましょう。


ノックしても返事のない松崎宅(なぜか扉の鍵は掛かっていない)に入った私たちは、廊下の奥から包丁を持って飛び出してきた松崎さんと遭遇。異常なまでに何かにおびえている松崎にインタビューをすることに。


まずは松崎さんのプロフィール。そして松崎さんの周りで友人が次々と不審な死を遂げていること、その友人たちと旅行に行った話を聞きました。話は間宮さんが進めてくれるので、我々は内容を必死にメモ。でも暗くて自分の文字が見にくいんだな、これが。


最後に旅行先で聞いた怖い話を私たちにしてくれるのですが、この語り口調が真に迫っていてかなり雰囲気がありました。あれだけ怯えていた松崎さんが、あの瞬間だけ何も恐れていない表情、何も感じていない表情だったのが逆に怖かった。映画を観ていたので大体のところは知っていたんですが、独特のテンポ感で話されていたので、最後の「お前だっ!」でキッチリ驚きましたよ。

このセリフで日野日出志がリフレインするのは私だけじゃないはず。
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シライサン登場、悪夢のかくれんぼスタート

松崎さんが指をさした瞬間に会場が暗転。横では大きく畳が擦れる音がした。次に部屋の明かりがつくと、暗闇におびえたチームメイトの女性がもう一人の女性の方へ身を寄せいていた。 視線を松崎さんの方へ戻すと、目の前数センチの距離に松崎さんの顔がありました。目が爛々と輝いていて、異様でしたね。

ブレーカーの様子を見てくると、松崎さんは中座。私たちが和室で待っていると隣の部屋から叫び声が!
隣の部屋に突入するとそこには腰が抜けた松崎さんと…彼女ににじり寄るシライサン。 本物がついに来ました。映画で見た存在が、目の前に来たんだと。会場に流れる鈴の音が、私たちをこの世界の住人であると強制的に認識させるかのようでした。


間宮先輩の「逃げよう!」の言葉によって2階に上った私たち。ここらかイベントの本編が開始されます。
最終目的は外へ通ずるドアの内側にかかっている南京錠の鍵を探すこと。
2階の4畳半の部屋には鍵のありかを示す暗号や怪しい小物などがたくさん。私たちは目の前にある情報やヒントをもとに謎を解き進めていくのですが、大きな障害が2つ存在しています。


まずは先ほど松崎さんの命を奪ったシライサン。 会場に鈴の音が鳴り響き始めたら彼女が現れるサイン。私たちは押し入れやクローゼットに入ってやり過ごさなければなりません。ですが、今回のゲームでは隠れる際には必ず1人で隠れなければならない制約が存在します。お化け屋敷で孤独になることほど怖いものはありません。

また、隠れられる場所はお札が貼ってある7カ所と決まっており、そのうち1カ所はなぜだかシライサンが出現するごとに効果が薄まるらしく突破されます。つまりは1/7の確率でこちらの隠れている場所が暴かれてしまうんですね。ちょうど居合わせてしまうと襲われてライフを1つ失います。襲われたくなければ静かに祈るほかありません。


そしてもう一つの怪異は松崎さん。 あの人シライサンに殺された瞬間に向こう陣営になっちゃうんですよ!なんですかその仕打ちは!
彼女はシライサンに襲われた結果目が見えない状態で家の中を徘徊する存在になります。
その際に物音や話し声を聞くとシライサンを呼んでしまうという恐ろしい能力を持っています。

この2体の怪異をやり過ごしながらチーム合計で3つしかないライフを守りつつ、ミッションをこなすかなりハードなゲーム展開でした。

ちなみに間宮先輩は、私たちが色々探索している間にいつのまにか2階の部屋に閉じ込められていましたよ。肝心な時に役に立たないんだから…


私は探索しているときや、謎を解いているときの全員が集中して1つの物事に立ち向かっている連帯感が好きなのですが、鈴の音が鳴った瞬間にみんなが蜘蛛の子を散らすがごとくサササッと思い思いの場所に隠れてしまうのがなんだが哀愁を誘う。連帯感とは一体何だったのか。

松崎邸へ入る前は「隠れられる場所はみんなで共有して、なるべく同じ人が同じ場所に隠れるようにしましょう」と決めていたはずなのに、鈴の音が鳴った瞬間一番に手近なところへ隠れてしまう。私を含め人間とはかくも醜い生き物だと実感させられます。

隠れているときは「どうにか来ないでくれ…」と祈っているのですが、扉越しに響く松崎さんの悲鳴とBGMの音色より一段低い音で少しずつ近づいてくる鈴の音。恐怖感が全身をまとわりついて放しません。

全ての音が私の隠れているクローゼットの前で止まり、扉が開けられた瞬間。
私は開く扉側の反対側で身を縮めていたわけですが、扉の内側にある鏡に反射したシライサンと目があった瞬間に死を覚悟しましたね。本当に。
そしてシライサンの手がゆっくりとクローゼットの中に入ってきて私の体をずるりと撫でた瞬間に大音響で流れる不協和音。これが命を失った音なんだと感じました。

ちなみに扉を開けてシライサンをサポートしていたのは松崎。従者か。


這う這うの体で2階に戻り、やられたことを報告しつつ謎解きを続けていく内に、松崎さんの日記のカギを開けたり、ずっ友レターを見つけたり、お誕生日パーティー会場に鎮座している箱を開けていく内に、私たちは怪異を成仏させる儀式の存在を知ります。


儀式を成功させるためには1階のテレビがある和室に全員で入り、探索して獲得した四神を適切な方角に設置し、その中央で鈴を鳴らしながら44秒数える。その後現れた人物の願いをかなえるというもの。この時点ですでに残り3分だったので、かなり焦っていたのを覚えています。


鈴を鳴らしながら数を数えていると閉めた扉の向こうから間宮先輩の声で「なにやってるの?!その儀式は失敗ヨ!タダチニ中止シテ‼」との叫び声が。でも私たちは知っているんだ。シライサンは身近な人の声で私たちを騙してくることを。


間宮先輩の声を無視して儀式を続けると、扉を開けて松崎さんが登場。「どうしたら成仏してくれますか?」と聞くと、寂しそうな声で「宝物を探している」とポツリ。
彼女も私たちよりも厳しい条件の中恐怖と戦っていたことを考えると、少し同情してしまいました。

彼女の宝物として可能性があるものは2つ。インタビューの時に言っていたエルマーとりゅうの本か、写真の裏に大切にすると書かれていた手紙。

ただ私たちの場合は儀式の場に手紙しか持ち合わせていなかったので、手紙を差し出すことに。体を九の字に曲げながら大事そうに手紙を抱え込む松崎さん。成仏してくれたようだ。


しかし残念ながらここでタイムアップのアナウンスが。惜しかった。本当にラスト手前までいっていたんですけどね。


全員の肩が少しおり、弛緩した空気が流れた瞬間部屋の照明が落ち真っ暗に。 「照明の不具合が発生しています。そのままお待ちください。その ま ま おまちください…」声のトーンが段々と低く、雑音交じりになっていくアナウンス。


すっかり日常に戻ったと勘違いしていた私たちは体が思うように動かず、ただ暗闇の存在に身構えるのみ。そして開かれる扉。

確実にシライサンがそこにいました。暗闇で姿かたちはわからないけれど、鈴の音が鳴り響くクローゼットの扉の向こうと同じ気配がそこにはありました。

シライサンが私たちの目の前に来た瞬間、

「そこまでよっ!」とさらに奥からライトを照らしなら威風堂々登場した間宮先輩。ヒーローは遅れてやってきます。
間宮先輩の調べた情報により、南京錠の鍵が入っている金庫の番号はエルマーとりゅうの作者の生年だということが判明しました。「本をこちらに!」と叫ぶ間宮先輩をよそに、固まる私たち。この部屋にエルマーとりゅうはない。そう、本はパーティー部屋に置いてきてしまったのです。なぜそれが分かるか?
わたしがその本をずっと持っていたからですよ‼
パーティー部屋で儀式用の鈴を見つけた時に、不用意に鳴らすと松崎さんが来るかなと思って本をテーブルに置き、鈴を両手でしっかりと持って運んだつけが今訪れました。

「な…なんでないの?」ともろに焦る先輩。

「私がここを守るから早く持ってきて!」と叫ぶ先輩の声を後ろに聞きながらそそくさと本を持ってくる私。ごめんなさいね。


本に書かれている著者プロフィールから生年月日割り出し、番号を入れると無事に金庫は開き、中にあった鍵を使い無事に脱出成功。
先輩は途中からシライサンと目を合わせる役を交換してくれて非常に頼もしい先輩だと感じました。


公演時間の80分をギリギリまで使って無事にグッドエンディングに辿り着くことができました。

感想とクリア報酬

今までのオバケンコラボ公演の中でも恐怖・謎解き・ストーリーが高い水準でまとまっている素晴らしい公演だなと感じました。グループでチケットを取っていたので、コミュニケーションもよく本当に楽しい公演でした。

シライサンは映画で見るよりも100倍怖かったし、なにより隠れるときは1人という制約が良いスパイスになって絶体絶命感が半端なかったです。


オバケンは独自機軸のホラーをたくさん提供していますが、そのノウハウがとても良い形でコラボ公演として仕上がっていたのではないでしょうか。
この公演をきっかけに、どんどん他のホラー映画とのタイアップがくることを願うばかりです。今度公開される『スケアリーストーリーズ』もよさそうな感じ!


あと、無事にエンディングを迎えたので、シライサンのブロマイドとグッドエンディング報酬の缶バッチキーホルダー。そしてなぞともカフェと連動しているシールをもらいしました。
事前になぞともカフェのキューブもプレイ済みなので、無事にコンプリート。
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ストーリーのネタバレが解禁となっているので、恐らく再演はないと思いますが、きっとオバケンさんはこれ以上に楽しい公演を打ってくれることを信じて、今日のブログを締めたいと思います。

エルマーとりゅう (世界傑作童話シリーズ)

エルマーとりゅう (世界傑作童話シリーズ)