【謎解き 感想】ヴァンパイアはかくして夜明けを迎える

全国150万人の”トマトジュースが好きな”皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。

今回は2023年5月8日まで開催されていた
『ヴァンパイアはかくして夜明けを迎える』の感想です! 

【ストーリー】
あなたのもとに届いた1通の不可思議な招待状。
それは、ヴァンパイアの屋敷への招待状だった。

ヴァンパイア?そんなものが存在するのか?
そもそも、なぜ自分なんかが招かれたのだろうか?ただの一般人でしかない自分が。

ーーしかし、確かに【貴方】だから選ばれたのだ。

ヴァンパイアの屋敷へと足を運ぶ、その好奇心と探求欲を持ち合わせた貴方だから。
「ねぇ、貴方なら私のお願い聞いてくれますよね…?」

そこで紡がれる物語は、幸福な結末か、それとも…
あなたが思い描く『シアワセ』の形とは。
すべては貴方に託された。
かくして、夜明けはやってくる。


【プレイ方式】
タイプ:ホール型
公演時間:イベント全体で約70分~100分
人 数 :6人1チーム

個人的満足度★★★★★★★★☆☆ 8/10点 

≪一言≫
これは、だれかの幸せを願う人たちの物語

ざっくり感想

小劇場を中心に活動するクリエイティブユニット空空-karakara-がナゾガクで発表した公演を、会場を変え新たな公演としてリメイク。
ヴァンパイアの住まう屋敷で起こるとある事件、そして謎を解いた先に迎える夜明けと我々が選択した結末を噛みしめる物語が楽しめます。


空空-karakara-さんの公演は今回が初なんですが、とても刺さりました。
「なぞときものがたり」と銘打たれた本作は謎はもちろん物語体験にもかなり力が入っておりまして、会場でチケットを切った瞬間からもうこの世界の登場人物として没入していましたね。


訪れたヴァンパイア屋敷は薄暗く、狭い通路をおぼつかない足で中を進んでいき辿り着いたとある部屋。
調度品や摩訶不思議なアイテムに彩られた部屋でついにヴァンパイアと対面を果たします。


細かな装飾がされたドレスを身にまとったヴァンパイアは非常に華がありましたし、都合上付けているマスクもストーリー上人間に危害を加えないという意思を表す役割を果たしている練られた演出だなと感じました。


そんなヴァンパイアと契約関係になった私たちは、屋敷に残る謎を解き明かしていきます。


かといって私たちが主役かというと実はそうでもなくて
あくまで本作はキービジュアルにも載っている2人の女性。そして彼女たちを見守る人物たちの物語であり、その物語にある意味決着をつけるジョーカーとして参加しているのだなという印象が強かったですね。

それだけに私たちがした結末、せざるを得なかった選択も含まれますが、その結末がダイレクトに心に響く展開はズシンと心に重いものを残しますし、終演後の余韻が帰りの電車の中でもずっと残っていましたね。


決して明るい作風とは言えないですが、それがヴァンパイアが持っているモンスターとしての怖ではなく、太陽の光を受け付けなかったり、苦手なものが多かったりする吸血鬼の特性とパーソナルな「不自由さ・諦観」という面と強烈なシナジーを発揮させ、謎が解けた時のエモーショナルさを爆発させるのです。


自分ではなく、他人の幸せを願った時にする行動を全て容認するわけではないけど、今回に限っては私がすべて肯定してあげたい。そんな気持ちになりました。
まぁ、そのおかげで中盤大変な危機が迫ったんですけどね。

謎の感想

本作では謎と物語が地続きに繋がっているため、小謎も物語を進めるために必要なファクターとしての意味を持ちます。
そのため解いた人だけで情報を占めてしまうと後々厳しいことになるのは間違いなく、情報共有はかなり重要だったのではないでしょうか。
わからなかった問題はすぐにほかの人に相談したほうが良いです。


私たちのチームは序盤のとある問題でめちゃくちゃ詰まってしまい、吸血鬼の彼女たちにかなり心配をかけてしまいましたね。
でもひらめかないものはどうやっても仕方がない。
結構時間がたって1人のお姉さんが力技で答えを導いてくれたものの、正直かなり時間をロスしてしまいました。


その後も個人的にはかなり苦戦していて、物語のゆったりとした時間の流れとはうらはらに、常にケツに火が状態でバタバタしながら謎解きを進める。
いろいろあってプレイ人数が4人だったからか、スタッフの方にかなり助けてもらったような気がします。うん。


最終的に私としては納得のいくエンディングを迎えられました。
EDの展開もめちゃくちゃ良かった。物語を締めくくる一言、この一言を聴くために謎解きを頑張ってきたんだ。



私たちを象徴する1枚。意味がたくさん込められてる。

おわりに

まさになぞときものがたりだった『ヴァンパイアはかくして夜明けを迎える』
その日入れていた公演はこれだけだったんですが、それでよかったのだと思います。
いろいろイレギュラーが起こりそうなフォーマットをあれだけの人数で回しているのは本当にすごいですね。確かな力量を感じました。

次回作もぜひ遊んでみたい。