全国150万人の”牛乳やプリンの争奪戦でじゃんけんが異常に盛り上がった”皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。
今回は『人の交換日記』の感想です!

あなたの平成がきっと呼び起こされる
なんと言ってもまずこのビジュアルである。
平成の時代を過ごした経験のある方ならまず間違いなく見覚えがあるデザインだろう。
この作品を手に取った瞬間、学生だったり社会人だったり立場は違えど、ノスタルジックな気持ちにならない人はいないはずだ。
カナヘイのキャラクターや魔法のiらんど、恋空などから引用された一文がガラケーの壁紙に使われていたあの時代だ。
「ゥチらの青春、一生不滅!」とデコられたプリがガラケーの充電パックの裏に貼られていた時代だ。
マックのハンバーガーが80円で買えたあの時代の空気感がそのままこの交換日記には存在する。
そんな平成のイデアが詰め込まれた作品が『人の交換日記』である。
個人的には令和にこれが当然のように販売されているのが恐ろしい(褒めてます)
平成の女児、怖い!
とあるフリマアプリで手に入れた交換日記。
中身は5人の少女が1日1ページを担当して、「授業で先生に褒められた!」とか「好きな食べ物は?」みたいななにげないやり取りをしていく。
内容を読んでいるだけでほっこりするというか、懐かしい気分に浸れます。
そういえば昔同級生の女の子がクラス全員分集めたいからという理由でプロフィール帳みたいの書かされたっけ。
自分のクラスでは一時しかはやらなかったけど、女の子グループの中では脈々と文化が続いていたのでしょうか。
日記の話に戻りますが、この作品の素晴らしいところは会ってもいない彼女たち文字からその人柄がバシバシと伝わってくるところ
日記をめくった最初のページにある性格診断以上に、彼女たちの言葉の選び方や文字の癖から、この子はこんなタイプの子なんだろうな〜というのが想像できるのです。
それと同時に「あーこんなやついたわ」みたいなことを思い出してちょっと喉の奥に苦い汁が溜まりました。
日記を読み進めていくと分かるのは、彼女たちの中で1人がいじめのターゲットにされてまうという事実。
ストーリーのにもある通り、それは人殺しというショッキングな結末へ収束していきます。
ページをめくる手がどんどん重くなってしまうくらいちょっと辛い場面でしたね。
いや、100歩譲っていじめられるに足る原因や場面は考えられなくもないんですが、おそらくいじめが発生したのはそこからじゃないんですよ。
もっと前から違和感はあったし、その発端となった人物はゆっくりと場の雰囲気を支配しながら空気感を作っていたんですよね。
自分の感情を優先して。
それを全く悪いと思っていないし、なんなら急に自分のことを妨害してきた、自分は被害者であると思っていることでしょう。
いやーこの歳くらいの女児特有の恐ろしさを存分に味わいました。
余談ですが、謎解きにあまり興味のない妻に文字だけで誰がヤバそうな人物かと聞いたところ、一息も置かずにその子のことを言及したのにはまた別の恐ろしさを感じました。アンテナすごいや。
謎について
本作品では彼女たちの情報を交換日記から集め、事件の真相を突き止めていきます。
個人的には追加の資料などが少なめで、最初から最後まで日記を深掘りしていくところがとても好みでした。
ミステリーゲームでは往々にして追加アイテムが増えていくと序盤のアイテムがおざなりになりがちなんですけど、最初から最後まで交換日記が大事なんだ!こいつが彼女たちの気持ちを読み解く鍵なんだ!と言われているようでしたね。
そして情報収集の難易度をグッと引き上げているのが彼女たちだけの秘密の暗号。
秘密を解読していくうちに事件の全貌や彼女たちのパーソナルな部分に迫ることができ、より没入感が深まった気がします。
全ての謎を時終えた時、なんとも言えない物悲しさが自分の中にぐるぐると巡ったんですよね。
交換日記はその時代を切り取ったもので、当時の時間をそのまま残しているんだって。
順当に進んだ時計と壊れてしまった時計、壊れた時計を修理に出すのが適切だったのかどうか、いまだに答えは出ません。
おわりに
第四境界の作品はぼちぼちやってきた人間ですが、人の財布や人のカレンダーにはまだ救いやカタルシスがあったんだなと感じます。
こんなにも登場人物に寄り添いたかったけど寄り添えなかったのは初めて。
印象深い作品となりました。
お値段はそこそこ高いと思いますが、やるだけの価値はあります。
梅雨が本格的になるシーズン。家でじっくりあの時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。


