【謎解き 感想】なぞときものがたり#9「時計の針は戻らない」

全国150万人の”1時間遅刻してバチバチに焦っている”皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。

今回は昨年末新中野 劇場ビットで開催されていた
『なぞときものがたり#9「時計の針は戻らない」』の感想です!

【ストーリー】
年末も近づいたある日。
あなたは急な頭痛に苦しみ、突然意識を失ってしまう。  
だいぶ長い間意識を失っていたようだ。
ふと気づくと、あなたはある空間にいた。
そしてどこかで見たような人影が話しかけてくる。

「ここは狭間の世界。死の際に立たされてしまった者が集められる精神の世界。

 貴方の命は残りわずか一時間程度。貴方の存在価値を示せたら助けてあげる。」

死神。
そうだ、目の前にいるのは死神だったはずだ。

ということは助かるには死神との知恵比べに再び挑むしかない。

余命、いやタイムリミットは一時間。
そう、時計の針は戻らない。


【プレイ方式】
タイプ:ホール型
制限時間:60分 
人 数 :4人1チーム~

個人的満足度★★★★★★★★☆☆ 8/10点 

ざっくり感想

2024年末に行われた空空-karakara-の公演に行ってきました
空空-karakara-の特徴と言えば謎解きと演劇が融合。
自分たちが物語の中に入り、登場人物たちの目的を達成するサポートをしたり、なんならその目的さえ超越した真の願いを叶えるような没入感が得られます。

過去私が挑戦した作品は1つしかありませんが、プレイヤーの選択と結果で変幻するシナリオと、吸血鬼が持つアンニュイで儚い雰囲気がとても印象的な素晴らしい作品でした。

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ただ『ヴァンパイアはかくして夜明けを迎える』はいわゆるルーム型で、参加者が少ないからこそできるキャストとのやり取りがメインでした。
それがホール型の公演となり、どのような違いがあるのかも気になりつつ、挑戦を決めました。

会場は新中野駅からほど近い劇場ビット。

普段は朗読劇や演劇が行われる劇場ということで、空空-karakara-の世界観を作り出すのにはかなり良い場所。
舞台に置かれている大小さまざまな箱は、その時々によって椅子だったり審判の場だったりに姿を変えます。


今回の物語は死ぬ一歩手前まで来てしまった私たちが、死神との知恵比べを経てその生命を取り戻すまでの1時間が描かれます。
やはりホール型の公演ということで、基本的にストーリーは舞台上のキャストがこちらに語り掛ける形で進行。
一部の問答やアドリブ的な感じで絡みはあるものの、ルーム型のような“自分が物語を決着させる人物である”という感じはなかったですね。

キャストの問いに答える感じはイマーシブっぽいなと思いつつ、参加者がノリ良い方たちばっかりだったので、かなり盛り上がった気がします。


物語で一貫して語られる「死は誰にでも突然訪れる」というテーマと、それに対して人はどのように生きていくかという死神たちの主張。
それは普遍的ながらも現代社会において忘れられがちな概念で、個人的には「何度も聞いたよ」となりつつも改めて襟をただされるような気持でした。あまり説教臭さを感じなかったのは演劇ならではの感覚なのかもしれませんね。
キャストさんのアクトも熱が入っていて、特に女性の死神は立ち振る舞いも含めてお美しかったー。

劇中ではもう一人の登場人物とのやり取りをへて、文字通り命を懸けた知恵比べが幕を開けます。

謎の感想

結果的には脱出失敗しました。めっちゃ悔しいです。
なんなら成功に必要なキーポイントには気づいていたのに、それをすっかり忘れて勝利を確信するという無能プレイをかましました。「物語のロジックとしては完璧な流れですね」とか言ってる場合じゃないって。もうちょい考えを煮詰めろよ。 もう時計の針は戻らないんだって。
まさか自分自身の振る舞いでタイトル回収しまうとは思いませんでした。完全に作者の掌の上です。


気を取り直して全体的な感想を。
試練はいくつかのパートに分かれており、小謎を解き、要素を拾いつつチェックポイントに向かいます。
そしてこの小謎たちがよーできておりまして、要素をすべて拾えばチェックポイントが簡単に解け(一部例外アリ)すべて拾いきれなくても頑張ってひらめけば突破もできるという絶妙なライン。

量もかなり多いため、チームでの協力プレイが必須だったのではないでしょうか。


個人的にはとても苦労した謎たちがとあるひらめきで概念が覆される一幕があり、思わず隣の人と爆笑してしまいました。
謎解きとしてのエンタメはあそこが一番爆発していたな。

時折詰まる箇所があったものの、そこそこの進捗で解き進めていき、最終回答を提出した我々。
結果は冒頭の通りです。解説のタイミングで全てを察しましたよ。



あと一歩、けれどこの一歩が遠いんだ。そう考えさせられる2024年最後の謎解きになりました。
精進します。

おわりに

そんな感じで『なぞときものがたり#9「時計の針は戻らない」』の感想でした。
ルーム型とのテイストの違いに若干の戸惑いはありつつも、空空の持つ世界観や根底に流れるイズムはホール型でも間違いなく発揮されているなと思いました。

今回の公演は残念ながら終了してしまいましたが、1月は大阪で別公演が再演、1月下旬から2月にかけて東京で新型ホール公演があるらしいです。
興味のある方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。