全国150万人の”都市伝説について調べるのが好きな”皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。
今回は2023年3月9日にNintendo Switch、PC(Steam)、スマートフォン向けに発売されたホラーミステリーアドベンチャーゲーム
『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』をクリアしましたのでその感想を書いていこうと思います。
ストーリーの顛末は書きませんが、ニュアンスネタバレ・考察を含んでいます。
【ストーリー】
ごく普通の会社員・興家彰吾は、友人の福永葉子とともに、
深夜の錦糸堀公園で、地元では有名な怪談、《本所七不思議》について調べていた。
《蘇りの秘術》と関係するという葉子の話を半信半疑で聞き流していた興家だったが、
目の前で次々と奇妙なことが起こり始める‥‥。
時を同じくして、《本所七不思議》を追う人々がいた。
連続変死事件を追う刑事、クラスメイトの自殺事件の真相を求める女子高生、そして失った息子の復讐を誓う母親。
本所七不思議を中心にそれぞれの思惑が絡みあい、物語は凄惨な呪い合いへと発展していく。
パラノマサイト file23 本所七不思議とは?
私は普段から『逆転裁判』や『ZERO ESCAPEシリーズ』などアドベンチャーゲームを好んでやるタイプの人間なのですが、これまた傑作が出てしまったなというのが正直な感想。
2,000円弱という手に取りやすい価格設定とおよそ10時間ほどでサクッと完結するボリューム感。
序盤から張り巡らされる伏線と、プレイヤー自身を能動的に物語に取り込むギミックが素晴らしくあっという間のクリア。
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ジャンルとしてはホラーミステリーアドベンチャーですが、推理や謎解き要素もあり、自らの頭でこの事件を紐解いていく楽しさがありました。難易度も絶妙なんだなこれが。
ホラー要素もしっかりしており、特に開始5分からこちらをギョッとさせてくる演出や時折挟み込まれるジャンプスケアのような驚かしも存在するため、ホラーが本当に苦手な人はちょっぴりダメかもしれません。
ただ、そのような驚かし要素は後半になるにつれてどんどん薄くなってくるので最初だけ我慢してください。
ただの呪術デスゲームかと思いきや・・・?
物語の舞台は昭和後期の東京都墨田区。
怪談・本所七不思議による呪いの力を得た9人の男女が"蘇りの秘術”をめぐり、呪ったり呪い返したり、戦い自体を止めようと奔走したり、事件の真相を突き止めたりする群像劇が繰り広げられます。
ひょんなことから呪いの力を得てしまった呪主(かしりぬし)たち。
彼らはそれぞれの理由から"蘇りの秘術”の力を欲しており、その儀式のためには滓魂(さいこん)と呼ばれる魂の欠片を集めることを余儀なくされます。
この滓魂は呪主からより多く得ることができるので、必然的にお互いを呪いあうデスゲームのような仕組みになっていました。
また、呪いの力を発動させるためには条件が設定されており、その条件を満たさなければ相手を呪い殺すことはできません。
そのため自分の発動条件は悟られないようにしつつ相手の発動条件をどうにかして暴く必要があるのです。
呪いが発動する際には対応する怨霊が顕現するため、まるでジョジョのスタンドバトルのような印象。
本所七不思議になぞらえた能力(死に方)もバラエティに富み、いかにしてこの場を自分のフィールドに持ち込むかにプレイヤーは頭をひねらせていきます。
でもそんなデスゲーム要素はこのゲームのほんの一部でしかないのです。
自分たちの願いのため、そして本所七不思議の真相を追及するため、キャラクターたちは奔走していきます。
個性的なキャラクターと共に解き明かす都市伝説の真相
さて、実をいうとこのゲームは主人公が一人ではありません。
冒頭から出てくる興家彰吾は確かに主人公ではありますが、このゲームはストーリーチャートを使って異なる場面、異なる主人公に切り替えていくことでどんどんと先に進んでいきます。
同じ時間、呪術デスゲームが行われている傍ら、別の人物はまた別の思惑で活動をしているのです。この群像劇が『428 ~封鎖された渋谷で~』や『街』を思わせますね。
各ストーリーラインの主人公はバディとも呼ぶべき人物と2人で行動することが多いです。
パラノマサイトにおける個人的に面白い部分はここで、2人の会話や掛け合いが本当に素晴らしい。
基本的にはゲームが始まった時系列でチームアップされたいわば即席チームが多いのですが、生死の境を共に乗り越えるからか、いい意味で遠慮がなくなり終盤の掛け合いはまるで熟練の漫才師のよう。
驚くリアクション一緒やん。
私が好きなのは逆崎約子(さかざき やっこ)・黒崎ミヲのペア。時代背景もあるのかもしれませんが、高潔な精神性と等身大の女子高生らしさのギャップが読んでいてとても心地が良い。彼女たちには幸せになってほしい。
一方強烈なキャラクター性を持つのがみんな大好き櫂利飛太(かい リヒタ)。
昭和後期でもなかなか無いファッションセンスとエキセントリックな言動はみんなを困惑させますが、探偵として依頼人にかける情熱は本物であり、持たざるものだからこその視点でこの事件と向き合う視点はプレイヤーのそれでもあります。
この唇に彼のすべてが詰まっている!
物語に没頭できるよう設計されたシステムと情緒を掻き立てるBGM
ここからちょっとだけゲームとしての感想。
「逆転裁判」のようなアドベンチャーでは画面上の気になる場所を選択することで新たな情報を手に入れることができます。
本作でもそのシステムは採用されているのですが、画面が360度ぐるっと一周できるようになっています。
そのため目の前の光景だけではなく、背中側にも新たな発見があるのです。
時にはこれがより一層の恐怖感を引き立てるんですけどね・・・
得られた情報や出会った人物はきちんとデータベースにまとめられており、比較的振り返りは容易。
特に謎解きや呪術デスゲームの場面では情報を見る機会が多いので、これは結構助かる。
ただ、ベースがタッチパネル式によっているので、カーソルで選択を強制されるsteam版はちょっとレスポンス性に劣るかもしれません。
そしてシーンごとに流れるBGMも秀逸なものぞろい。
アバンタイトルで使用されるコーラス付きの曲はここから始まる物語の不穏さを表しているようで、まさにパラノマサイトを象徴する曲といった印象。
刑事2人組のターンでよく流れる太陽にほえろっぽい曲もめちゃくちゃカッコいいんですよねー。知識がないのであれですが、後ろで流れているギターのわおわおがエモいです。
おわりに
昭和後期という現代から見るとノスタルジックに片足を浸かっている時代と、連綿と現代まで続く人の業。
ホラーミステリーというジャンルですが、この後どうなるんだというドキドキとワクワクは唯一無二のものだと思います。
詰みポイントはちょくちょくありますが、決して突飛な発想などはなく、全てがデータベースに載っています。
ヒントではありませんが、やれることは全てやったほうが良いです。”なめどり”はほぼオマケ要素なので頑張らなくOK。
とある人物から投げかけられる一つの問い、きっとあなたは驚愕することになるでしょう。
そのあとの展開を見てほしくてこのブログを書きました。
興味のある方はぜひ買ってみてください!決して後悔はさせません。
続編出してくれ!