【感想】イマーシブシアター「Touch the Dark」の世界観に肩までドップリ浸かった話

皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。
今回は本日まで都内某所で開催されていた体験型パフォーマンス公演
『Touch the Dark』に参加したので、その感想です

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【ストーリー】
その病院は、
おかしなところが何もなかった。

入っていった者より、
出て来た者の数が少ない?
病院は人生の終着駅になることもある。

患者の死に抗う、誠実な院長がいた。
あらゆる治療を施し、
命を守るためには手段を選ばなかった。

必ず助ける。

仮に肉体が温もりを失ったとしても、
彼は決してあきらめなかった。

まだ、救う方法があるはずだ。
彼女が目を覚ますための、方法が。

このように、この病院には、
おかしなところは何もない。

さあ、安心して、ご来院を。


DAZZLE イマーシブシアター 「Touch the Dark」PV 2018

<一言>
虚実織り交ざる幻想的な空間で展開されるストーリー。そこに真実はあるのだろうか

キャストに導かれ「体感」するストーリー

はっきり言うと、私はTouch the Darkに関して参加当日までさしたる知識がありませんでした。行こうよと誘ってくれたのも友人の方からですし、サイト見てもフワッとしたことしか書いてありませんし、会場の場所も「非公開(東京都渋谷区)」となっていたので、何も知らないで行った方が良いスタンスですな(´∀`*)ヨキヨキと仕事帰りに参戦することに。

着いた場所はやはり某所にある廃病院。病院を舞台にしたパフォーマンスとのことだったので、いやな予感がしていましたが、やはりそうでした。少し前の世界線で、ここでたくさんの謎と格闘した記憶がよぎりましたが、夜に改めてみると雰囲気が違いますね。異質な感じがグッと増します。

受付を済ませ、会場に案内されるところで事件が。友人含めて3人で行ったのですが、組み分けで全員がバラバラになるという事態に。(恐らく公演システムの影響)

これから待ち受ける不安を感じながら受付で借りた音声案内を聞いてみると、どうやら この病院は入ったら最後、行方不明者が後を絶たないそう。音声案内の主(記者?)は真実を突き止めるため、潜入を試み、各所にヒントを残していく…というお話が展開されます。なるほど、大枠のストーリーのほかに謎解き要素があるのねと理解しました。

そうこうしている内に開演時間。「院長の総回診です」の言葉から始まるダンスカンパニー「DAZZLE」の圧倒的なダンスが始まります。そう、我々が今まで待機していた廊下で。

めちゃくちゃ近い!!!

本当に手が触れらる距離で行われるパフォーマンスに圧倒されます。ステップ時の床と靴が擦れる音。手の風切り音。時折手を交差する際になる肌と肌のはじける音。すべてが超至近距離で行われるので、圧倒されると同時にグンとストーリーのに引き込まれました。タイトルにあるイマーシブとは没入を意味する言葉だそうで、文字通り物語世界に引きずり込まれてしまったのです。

その後メインストーリーが始まると、キャスト扮する看護師に導かれながら組み分けられたグループごとに会場を練り歩くことに。到着した場所でストーリーとパフォーマンスを見ることになるのですが、特に椅子など指定された場所に座るのではなく、ある程度区切られたエリア内に居ればどこにいても良いというもの。なので自分が見たい角度からパフォーマンスを見ることができます。私はダンスも見たいと同時に記者の残したヒントも見たかったので、なるべく訪れた部屋全体が見れる場所に陣取り、辺りをキョロキョロと見まわすことに終始することに。

体感中これはすごいなと思ったことは、組み分けられたグループが5グループ程あったのですが、中盤の全員が一つの場所へ集合する時まで、ほとんどすれ違わなかった事ですね。なるべく他の人が見えない方が Touch the Darkの世界に没入感出来ますからね。スタッフの配慮が伺えます。

全員が一つの場所へ集合し、そこで新たなストーリーを体験したら鐘の音が響き、自由行動の時間となります。

同時多発的に発生するダンス、ストーリー、事件、あなたはどれだけ目撃できたか

自由行動が許されると、今まで行けなかったエリアに行けたり、触れられなかったものに自由に接触することができます。つまり、物語の真相を解き明かすためにはこの自由行動中にどれだけのヒントを集めることが出来るか という事が非常に重要になってきます。

ところが、B1~3階まであるフロアのいたるところで、看護師が、患者が、院長が、ストーリーを展開しているので、すべてを目撃するのはとても不可能。そして、物語のキーとなるあの少女の動向も然り。 劇中明示されるヒントも、私は2つしか回収できず、結構途方に暮れておりました(一緒に行った友人も、得たヒントは違えど2つ回収にとどまったようです。)

ストーリーも、大枠ではなんとなく理解できたのですが、細かい事象や時系列は不明で。院長のあの動きは?あの患者たちの存在意義は?鎖につながれていた人は誰?ラストシーンは現実だったの? 私の中の真相はいまだ闇の中にあるようです。※地図にメモできるようペンを持っていけばよかったと後悔しました。

謎解き要素を除いた話だと、結構楽しめておりまして、 途中入ったとあるエリアでは、カワイイ動物たちと触れ合え、それに加えて美味しい飲み物までもごちそうになっちゃって!声を出せない環境ではありましたが、とても和気あいあいとした空気を楽しめました(貰った飲み物の成分がかなりヤバいやつだという事が後のストーリーで判明したのは内緒だ)

パフォーマンスも、病院らしく、ベッド・カーテン・ナースコール・手術台などを効果的に使用して、小さい部屋ながらもダイナミックな表現ができていたと思います。 そしてミュージック。この公演オリジナルの曲だと思いますが、ノワール調のダンスミュージックから、激しいテンポの「怒り・慟哭」を現した曲もの悲しい曲まで揃っており、公演中ほとんどセリフがないのですが、登場人物の気持ちを理解するには十分すぎると思います。代表である長谷川氏をはじめ、ダンサーの方々の動きにただただ酔いしれるのも良し。

そんなこんなで目いっぱい楽しんだ「Touch the Dark」。世の中にはこんな形のエンターテインメントがあるのかと、とても新鮮な体験が出来ました。でも真相にたどり着けなかったのでモヤモヤする部分もあるのが正直な感想です。めちゃくちゃ考察出来る余韻があるので、それが楽しい部分ではありますが。 会場がどうやら来年で取り壊されてしまうようで、再演はあるのだろうか。映像作品としてでも残していただけたら…と思わざるを得ない特別なイベントになりました。