全国150万人の”一軒家にすんでいる”皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。
今回は1月22日まで開催されていた
かわおば2023『やしきおばけ』の感想です!
【ストーリー】
「この屋敷」 の家主が亡くなって、もう何年が経っただろうか。
遊園地とお化け屋敷をこよなく愛した彼の夢は、「この屋敷」 をお化け屋敷にすることだった――――
管理業者の一員として、空き家の確認に来たあなた。暗闇の中、歩みを進めながら一つ、また一つ電気を点けていく。
そうして 「この屋敷」 は、一歩、また一歩お化け屋敷へと姿を変えてゆく。その姿はまるで、まるで……!
「この屋敷は、生きている。」
川島さん家を使った斬新なお化け屋敷“かわおば”が帰ってきた
今や一大ジャンルとなって恐怖を提供しているお化け屋敷。
遊園地に設置された昔ながらのホラーハウスはもちろん、実際の古民家を改装して殺人鬼の棲家にしたり、使われなくなったバスを歩けるお化け屋敷に変貌させたりと、そのスタイルはさまざま。
そんなバラエティに富んだタイプがあるお化け屋敷の中でも、かわおばのように家主がいない間に家をお化け屋敷にしてしまおうという経緯で作られたお化け屋敷は唯一無二の存在なのではないでしょうか。
私は2020年にもかわおばに参加してまして、一軒家を丸ごとお化け屋敷に改装したその熱量と、創意工夫で生み出される演出の数々に度肝を抜かれたんですね。
その時ウォークスルータイプのお化け屋敷が苦手だということもわかりました。
その後家を取り巻いていた怪異は終息したのかかわおばの情報はなく、代わりに街歩きホラーとしてイベントが開催。
詳しい友人に話を聞いたらそれはそれは楽しいものだったらしく、自分のアンテナの弱さを恨みました。
そして2023年。
友人から来たLINEに書かれたかわおば新作の文字。これだよ。これを待っていたんだ。
私は早速あの街へ足を踏み入れたのです。
会場の家については公開されておらず、事前にメールで集合場所のみ告知され、そこから会場へ。
集合場所にはこのように今回のキービジュアルのほか、”お化け屋敷”というのぼりもあり、若干の縁日みを感じます。
スタッフの案内にしたがって会場へ移動。
玄関から入場し、直ぐ左手にある待合室に通されます。前回と同じ場所が待合室です。まさに実家のような安心感がありましたね。 (実家じゃないけど)
あと今回はチケットにQRコードが導入されていて、民家の台所でQRをかざすという人生で初めての体験がありました。これでチケットの有効期限とか利用履歴の有無を見ていたらしい。すごい進歩だ。
そしていよいよ3年ぶりのかわおばが始まります。
創意工夫で恐怖を演出するかわおばギミック
誰も居ないのに物音や話し声がするという2階立ての民家。管理会社のアルバイトとして、先輩に案内されつつ空き家の調査を行います。
ごくごく一般的な民家は、まるで今までそこに住民がいたかのように感じられる雰囲気を持ちながら、御札や封鎖線が貼られておりまっすぐに歩くことも困難。
そして特に違和感を覚えるのが「メインコントロール室」と書かれた看板や各所に置かれたメカボックスが示す通り、いやにメカニカルなアイテムが点在しているところ。
通された脱衣所エリアで天の声からガイダンスを聞いていると、その声が手元のナビゲーションシステムに移ったところでゲームスタート。
個人的にかわおばのすごいところは限られた条件の中から繰り出される演出だと思っていて、例えば家具を使って曲がりくねらすことで1部屋に対しての移動距離を長くしたり、天井の照明に覆いをかぶせつつ1点に穴を開けることでスポットライト代わりにしたり、スイッチを押すと自動的にカーテンやチェーンが落ちたりと、ここが民家であることに甘えずちゃんとお化け屋敷としてのエッセンスを用意しているんですよね。
特に音響関係は絶品で、先程の音声が移動するシークエンスは違和感がなさ過ぎて感動すら覚えました。
『やしきおばけ』のコンセプト同様、かわおばも進化しているのだ。
あとすごく良かったのはあえて生活感を残しているところ。
本棚を見るだけで「あっここの人はエンジニアっぽいな」とか「アジア系の国に興味があるんだな」とわかったり、序盤の部屋でおじいさんの写真が意味有りげにおいてあったり、自分の家とは違う独特な匂いを感じたりと、実際の民家だからこそ醸し出される雰囲気は抜群。
前回参加したときは恐怖で細かい所まで見れなかったのだなーと改めて今回思いましたね。
もしかしたらこの数年で耐性がついたのかも。
一期一会の体験
『やしきおばけ』のストーリーは、おそらく骨子が決まっているものの参加する人やキャストのノリでかなり異なる物語体験になるのだなと感じました。
というのも待合室から出るとすぐに先輩が登場し参加者とのやり取りが待合室まで聞こえてくるのですが、ときに軽いノリの先輩だったり血気盛んな先輩だったりがいて、ある意味参加者にあったテイストが選ばれるのかなといった印象だったから。
さて私たちの番。
待合室から出るとすぐに「どうもーー!」と先輩が勢いよく登場。
これから廃墟を探索しようというのにそのテンションと底抜けの明るさから誰かが「オネェっぽいね」とポロッとこぼすと
「あら、よくわかったわね!これからアナタたちにいろいろ教えていくわね!」
との言葉(この間実に0.2秒)
なんと反射神経のいいことか。ここまでどの回でも出なかったであろうオネェ先輩が爆誕したのである。
もちろん私たちは爆笑してしまい、今日のノリが確定した瞬間でした。
そして2,3のやり取りを終え、アナウンスを聞くため脱衣所へ。
待っている間「もう(料金の)元は取ったね」と勝利を確信。
その後は上に書いたたくさんのギミックをたっぷりと堪能しました。
個人的にはスイッチを押すことでブラックライトが点灯し、これまで進んでいた道を戻る指示が現れるところや、本棚に置かれた矢印のオブジェがほんの数瞬の間に逆転しているなど、いつの間に!と思える演出が好きでした。
もちろんキャストが演じるおばけが出現するなど怖いところはあったのですが、それでもウチらにはオネェ先輩がついていると心に思うことでだいぶ恐怖が軽減されていたと思いますね。
最後のスイッチを押すとクライマックスとばかりに女の幽霊が登場。ドシドシと音を立てながらこちらに迫ってきます。それを掻い潜りつつ1階へ降りる階段を探していると・・・
「こっちよ!早く!」
下からオネェ先輩の声が!
照明がついていたのもあってめちゃくちゃ安心感がありました。
そんなこんなでアルバイト体験は終了。先輩から錦糸町での打ち上げを提案されつつ家をあとにしたのでした。歌舞伎町ではなくあえての錦糸町なのがすごくいい。
キャストとの対話が発生するイベントでは全てが一期一会。
思わぬ方向へ進んでしまった私たちの『やしきおばけ』は、怖さもありつつも楽しいものになりました。こんな体験はどこでもできませんよ。
最後までオネェキャラを守ってくれたキャストさんには最大限の感謝を。
つぎのかわおばではどんな物語が始まるのか、今から楽しみです。