【感想レビュー】繰り返される12分間で謎を解くゲーム『Twelve Minutes』がおもしろい

全国150万人の”やり直したい思い出のある”皆さまいかがお過ごしでしょうか。
鈴村リク (@alfbds0954) です。


今回は最近巷で話題のPCゲーム『Twelve Minutes』を遊んだのでその感想を書いていきたいと思います。

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『Twelve Minutes』は2021年8月20日に発売された海外製のアドベンチャーゲームで価格は2,700円
現在はPCのみでの展開ですが、そこまでスペックを求められるゲームではないので、今後Switchでの販売展開とかもありそう。
値段も手ごろですしプレイ時間もそれほど長くはないので、ミステリー好きな人やトライ&エラー系のゲームが好きな人にプレイして欲しいなと思います。


終わらない12分間が繰り返される奇妙な夫婦生活

このゲームの特徴は、アパートの一室で起こる12分間を延々と繰り返す中で、この繰り返す世界を脱する手段を考えたり事件の真相を暴いていくいわゆる「ループもの」
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「ループもの」をテーマにしている作品は数多くありますけど、個人的に似たテイストを感じたのは『STEINS;GATE』ですね。
シュタゲのα世界線ではまゆりがどう頑張っても死ぬじゃないですか。
岡部倫太郎はそれを認められなくて延々と世界をループさせ続けるんですが、前にも後ろにも進めない煉獄感を感じさせてくれました。
こちらは岡部と違って自分の気持ちでにループしているワケではない+死ぬのも自分なのでより地獄ですけど。 意図せず死に続ける様はゴールドエクスペリエンスレクイエムを受けたディアボロにも通ずるものがあります。


ざっくりとしたストーリーは、主人公であるとある男性が深夜12時を回って、妻の待つ自宅に帰宅したところからはじまります。
いつも通りの日常のはずだったが突然の警官の訪問で事態は一変、妻の逮捕に動揺し抵抗した主人公は返り討ちにされてしまう。 と、次の瞬間、主人公は帰宅したその時まで時間が巻き戻っていることに気付くといった感じ。

妻がなぜ逮捕されなければいけなかったのか、そもそもなぜループが起きるのか、その真相を限られた時間の中で暴かなければなりません。
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ちなみにゲームの主要人物は主人公、妻、警官の3人。他に数名出てくるのですが限定的な出演なので割愛。
アパートというある種の密室で織りなされる人間模様と二転三転するスリリングなストーリーは、こちらに戯曲や演劇を見ているかのような気分に。
動きは少ないけれども、スリリングな会話劇を繰り広げられます。


会話劇といえば各キャラクターの声優陣も豪華
ウィレム・デフォー、デイジー・リドリー、ジェームズ・マカヴォイと第一線で活躍しているハリウッドスターが声を当てているんですね。
序盤に出てくるクレジットを見て目を疑いましたよ。序盤にクレジットが出るのも今の映画っぽい感じがして良かった。
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試行錯誤を繰り返し突破口を見つけ出す楽しさ

舞台となるアパートはアパートは2LDKで、リビングダイニングキッチンとベッドルーム、シャワールームとクローゼット程度しかなく、ゲームのフィールドとしては非常に狭い。
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しかしながら時間経過によって必ず「12時10分」に強制的に次のループへと飛ぶため、効率的に部屋内を探索していく必要がある。
時間が経過する前に死んだり部屋から逃げ出そうとしても次のループに飛んでしまうため、のんきにお茶を飲んでいる時間はないのだ。

12分の間にいろんなことをしていると、さまざまな場面が訪れます。
交わした会話や取った行動の結果、発見したアイテムの使い道など
「お、これは事件解決のヒントになる?」
「このアイテムはこう使うと有効なのでは?」
「次はこれを試してみよう」
と、あらたな展開への道筋が少しずつ見えてきます。


タイムループはあくまで「同じ時間軸」に戻るため、ある行動に対しては必ず同じ結果が訪れます。アイテムの持ち越しもできません。
でも、私たちの頭の中には前回のループで刻み込まれた記憶が残っています。それを活かして新たな手掛かりや情報を見つけて突破口を切り開いくのです。

選択肢によっては肩透かしな会話を聞かされたり警官の逆鱗に触れて一瞬で殺されたり、理不尽な場面も多々あるんですけど、1ループが短いので「じゃあ次に行くか」と軽く気持ちを切り替えられるのも良くできたシステムですね。


3D見下ろし型視点でみるアパートは狭く圧迫感がすごい。
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ゲームの操作性も相まって非常に動きづらいですけど、この視点だからこそ味わえるスリリングなシーンもあったり、FPSやTPSに慣れてしまった現代では逆に新鮮な体験になっているかもしれません。


プレイ雑感と軽く考察

ゲーム開始からクリアまではざっくり4時間ぐらいかかりました。
そこから実績解除をちょこちょこ進め、満足したーってところまで含めると6時間ぐらいだと思います。


最初は文字通りの手探り状態でした。なにかあっちゃあすぐに警官に殴られるし、奥さんに「俺は時間をループしてるんだ!」って力説しても「じゃあ証拠は?」とバッサリ切られるしで絶望しかなかったんですが、ちょっとしたきっかけで可能性がぶわっと広がると一気にこのゲームに魅了されました。とにかく物語のドライブしていく感じがすごい。

ショッキングな場面の連続でかなり心をやられたりするんですけど、一方で奥さんとダンスを踊るシーンはグッときましたね。
正直ダンスを見届けて1ループを終えた私がいます。
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「これは私たちの曲ね」って、そりゃ泣くぜ。


ループって時間の概念もありますけど、「あの時ああすれば良かった」って気持ちの概念でもあると思うんですよね。
序盤はどうして主人公がループに選ばれたんだ?って疑問だったんですけど、最後まで進めるといろいろな意味でコイツが主人公だったんだと納得できました。


そんな感じで褒めている一方で残念に思うところももちろんありまして。
特にストーリーラストの展開はかなり飲み込みづらいものだったと思います。前半で哲学的な伏線がはられていたとしても、この選択にはならないんじゃないかなぁー。


ラストでこれまで「アリ」とされていた世界観をちょっと踏み越えた設定が出てきたりするので、それを良しとするかどうかで意見が別れるんじゃないでしょうか。
それ以外にも現代の若者よりキレやすい警官とか、ツッコミたい部分がめっちゃありました。


あと完全クリア(実績解除コンプ)を目指すとしたら、それこそ神がかり的な直感とヒラメキ力がないとキツイ場面が結構ある
ノーヒントでコンプは私のレベルでは無理でした。まぁストーリーだけ楽しみたいなら全然大丈夫だと思います。

最後に

日本語の吹き替えはないものの翻訳はしっかりしていており、お値段も手ごろなので個人的にはとてもおススメな作品です。
ゲーム実況でたくさんの人が遊んでいるけど、自分で体験した方が絶対に良いよ!