【ボードゲームレビュー】常に自転車操業『ナショナルエコノミー』 

全国150万人の社長"の皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。

今回は少し前のゲームマーケットで入手した、遊びながら経済について体感できるゲームのご紹介です。

『ナショナルエコノミー』

ナショナルエコノミー

【ゲーム概要】
 「ナショナルエコノミー」は事業を経営するワーカープレイスメントゲームです。
プレイヤーは労働者を職場に配置して製品を作り、販売し、新たな職場を建設します。
このゲームのユニークな点はお金が循環する事です。
プレイヤーの払った給料が労働者の家計に入り、彼らが商店で買い物をする事で再びプレイヤーの手に戻って来ます。
事業を真の成功に導くには国民経済全てを大きくしなくてはいけないのです。

【プレイ環境】
人数:1~4人
時間:30~45分
年齢:12歳以上


≪一言≫
ジレンマと葛藤にまみれたカードゲーム。シンプルな構造で持ち運びやすい

ざっくりプレイ方法

1. 各プレイヤーごとに色を決め、労働者カードを2枚手元に置く
2. 初期公共職場カード・建物カード・ラウンドカード・消費財カードを場に配置する
3.プレイ人数に合わせてお金カードを受け取る
4.スタートプレイヤーが労働者カードを1枚職場に置き、効果を適用する
5.時計回りに次のプレイヤーが労働者カードを1枚職場の上に置き、効果を適用する
6.以上を繰り返し、すべてのプレイヤーが労働者カードを使い切り終わったらラウンドを終了

7.ラウンド終了後、プレイヤーは所有している労働者の数に応じで賃金を支払う
8.ラウンドカードを公共職場に表向きで配置。9ラウンド目を終えたらゲーム終了。
9.建物・お金・ボーナス点etcを計算し、一番スコアの高いプレイヤーの勝利

働けど働けど、暮らしは楽にならない(怒)!

ボードゲームには、手元にあるコマやカードをボード上のスペースに配置してアクションを適用するスタイルのゲーム、ワーカープレイスメントというジャンルが存在します。文字通り「労働者(ワーカー)を配置(プレイス)」するわけですね。このジャンルの代表として挙げられるのがアグリコラ。この名前を聞いたら何となく想像できた方も多いんじゃないでしょうか。

アグリコラ:牧場の動物たち THE BIG BOX 日本語版

アグリコラ:牧場の動物たち THE BIG BOX 日本語版

  • 発売日: 2020/04/11
  • メディア: おもちゃ&ホビー


この『ナショナルエコノミー』もワーカープレイスメントの御多分に漏れず、自分の手元にいる労働者を働かせることで利益を得、自分の資産を拡大させていきます。気分はまるで敏腕社長!ただし、社長になったからにはきちんと支払うものは支払わなきゃいけないワケで…

こちらが箱の表面。
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様々な施設が立ち並ぶ都市とそびえたつタワー。そしてそれらを見下ろすヘルメット被った作業員の方が写っています。ちなみにタイトルでもある『ナショナルエコノミー』は国民経済という意味。ゲームを進めていくうち、この言葉の意味が分かってきます。

まずは私たちの手足となる労働者のご紹介。
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いかがでしょうこの笑顔。どんな苦難でも一緒に乗り越えてくれそうな気配がしませんか?わが社はアットホームな職場です!社会保険完備!社員旅行有り!
各プレイヤーは好きな色を選び、7枚のカードの内2枚を受け取り、残りはサプライ(共通の置き場)に置きます。


続いて公共職場カード。
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こちらはテーブルの中央、すべてのプレイヤーから手の届く場所に配置します。採石場、鉱山、学校の3枚と、大工に分けられます。大工はプレイヤーの人数によって数が増減しますが、必ずプレイヤーの人数から1を引いた数用意します。 この職場カードに労働者カードを派遣し、書かれている効果を適用します。例えば鉱山だったら建物カードからカードを1枚ドローする感じ。

ラウンドごとに公共職場カードは増えていくので、働き口がドンドン増えていくというイメージ。

ラウンドカード。
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ラウンドカードは両面使用するカードで、裏向きに整理されて山札にします。一番上がラウンド1で、一番下がラウンド9です。

最初はカードの裏面のラウンド1,賃金$2が見えています。このラウンドでは労働者1人に$2を支払うという意味で,ラウンドが進むと最終的に賃金が1人$5まで上がっていきます。後述しますが、常に自分の財布はキツキツなので、この支払が本当に痛い。
ラウンドカードの表面は公共職場になっていて、どんどん場に追加されていきます。 f:id:alfbds0954:20200411215934j:plain:w600

そして建物カード f:id:alfbds0954:20200411220050j:plain:w600
このゲームの核となるカードで、プレイヤーはこの建物をどんどん自分の場に建築していくことでより豊かな社会発展を目指します
建物カードの左上の数字は1~5で,建設コストを表します。作るときに,コストと同じ枚数の手札を捨てる必要があります。下にあるテキストはこの建物の効果を表し、公共職場と同じように、この建物の上に労働者を置いたとき効果が適用されます。ただ、公共職場と違うのは、自分で建てた建物に労働者を派遣できるのは自分だけ!ゆえに別の人に先を越される心配がありません。

下の数字は資産価値で、自分が建てた建物の資産価値+お金がゲーム終了時の得点となります。
右下にはカテゴリアイコンは農業(鋤と鍬のアイコン),工業(歯車),施設(鍵)があり、別のカードと組み合わせで効果を発揮します。

建物カードはシャッフルして裏向きの山札にして中央に置きます。

農業の建物を建てると、消費財カードをもらえる場合があります。
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このカード自体に効果はないですが、手札として扱われるため、建築の際のコストとして支払うことが可能。積極的に使いましょう。

ちなみに全カード絵柄の異なるバナナが載っています。製作者のある種の執念を感じる。
写真はご自身で撮ったのかしら…


全プレイヤーが労働者を派遣し終えたら、ラウンド終了。 自分の労働者を手元に戻し、労働者1人当たり$2(最終的にラウンドでは$5まで上がる)の賃金を家計に支払います。

賃金を払えない場合は,残念ながら所有している建物を売却しなければなりません。その建物カードを公共職場に移し。カード下部に書かれている資産価値分のお金をサプライから受け取ります。

ここが少し難しいところですが、このゲームでは同じお金を扱う時でも、サプライという置き場所とは別に,家計という置き場所があります。家計と言っても全プレイヤーの共有のお金の置き場所で,最初は空です。基本的にラウンド中にお金が手に入る場所は家計から。ラウンド終了時にお金を手に入れる場所はサプライと覚えておきましょう。

建物を売却しても賃金が払えない場合は,払えるだけ払い,足りない分$1につき,1枚の未払い賃金カード(-3点になる)を受け取ります。社長は身銭を切ってでも社員を活かさなければなりません。苦しい。

プレイしてみて

建物を建てたりお金を稼ぐためには、労働者をたくさん雇ってたくさん働いてもらう必要がありますが、雇えば雇う分、支払う賃金はドンドン増えていきます。収入と支出のバランスを保つには、針の穴ほどの隙も与えないマネジメント力が必要。
日頃ただ漫然とサラリーマンとして働いている私からすれば、あまり使っていない部分の頭を使うので、ちょっとプレイしただけで相当頭から煙が出ましたよ。


最初プレイした時は、手元に金を貯めよう貯めようと行動した結果、建築が思うように進まず、建物を建ててはそのラウンドで壊して賃金に充てるという焼畑農業的事業計画を立てた挙句に家計は火の車。全くいいところを見せれずに終了。

2回目にプレイした時は、目先のお金よりも建築や労働者を雇ってできることを広げ、効率的に動いたおかげで少し家計が楽に。公共職場カードよりも建物カードの方が効果が強いので、なるべく自分の建物で働くことをおススメします。


繰り返しプレイすることで視野が広がって、思わぬ建物のコンボを発見できるので、自分の成長が実感しやすい のもこのゲームのいいところかもしれません。
また、他のプレイヤーが素晴らしいコンボを披露するとこっちもそれを使いたくなるため、もう1回プレイしたいという気持ちさせてくれます。

箱も比較的小さく持ち運びやすいものグッドですし、すでに拡張版が2種類も発売されているので、ドンドン遊んでいきたいと思います。

ちなみにこのゲームは1人用のルールも存在し、それも結構楽しいらしい。
いろいろ自由に出歩けない時期で1人でいることが多いので、いつか1人用でも遊んでみたいと思います。

ナショナルエコノミー

ナショナルエコノミー

  • 発売日: 2015/11/21
  • メディア: おもちゃ&ホビー