全国150万人の”パスタを食べるときはスプーンを使う派"の皆さまいかがお過ごしでしょうか。鈴村リク (@alfbds0954) です。
今回は自分の所有する傭兵集団を、なんとかやりくりしながらイタリア都市国家有数の首長を目指すゲームのご紹介です。
『傭兵隊長 新版(condottiere)』
【ゲーム概要】
『傭兵隊長』が新版・旧版の2つのルールを収録して日本語版で新登場。
『傭兵隊長 新版』は、1995年に発売された『傭兵隊長』をリメイクしたものです。
旧版と比べて一部のカード効果の変更や、カード枚数の調整、新カードの追加などがされており、より戦略的な駆け引きが求められることになるでしょう。
プレイヤーたちは、他の都市国家へ支配を広げようと目論む一都市国家の領主となります。
大胆かつ狡猾、そして戦い慣れた傭兵隊長を雇って、周辺諸国で起こる戦闘に送り込みましょう。
戦いに勝利することで、支配する領域が広がります。
あらゆる手段を利用して、権益の拡大を目指すのです
【プレイ環境】
人数:2~6人
時間:20~45分
年齢:10歳以上
≪一言≫
バチバチの心理戦カードゲーム。中世イタリアを想起させるカードデザインがグッド
ざっくりプレイ方法
1. 各プレイヤーは支配マーカーの色選び、5個手元に置く
2. 傭兵カードと特殊カードをシャッフルして、各プレイヤーに10枚ずつ配る
3.スタートプレイヤーは戦場マーカーをMAP上のエリア1つに置く
4.スタートプレイヤーから時計回りに、傭兵カードまたは特殊カードを1枚づつセットする
5.各プレイヤーが任意の枚数カードをセットしたら、戦力計算をする
6.一番戦力の高いプレイヤーが勝利し、支配マーカーを別のエリアに置く
戦乱!、拡大!、戦乱!、拡大!
学生時代に世界史を選択していた人や、政治形態に興味がある人は、きっと「都市国家」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。
都市国家は、一般的に想像される国家とは異なり、一つの都市自体が国家として機能し、それぞれが独立した権力・権力・文化を持っていました。
このゲームの舞台であるイタリアも、ヴェネツィア、シエナ、フィレンツェなどの都市国家が9世紀から15世紀に発達し、交易によって多大な利益をもたらしました。
富を得た都市国家は、強力な傭兵を雇って更なる国家の増強を目指し、他の都市国家の支配を狙う。というのがこのゲームの主旨。
ゲームタイトルであるCondottiere(コンドッティエーレ)は、イタリア語で傭兵・傭兵隊長を意味する言葉。なんともザ・直球なタイトルです。
私は正直全然知らなかったタイトルなのですが、今年初めに購入したボードゲーム福袋に入っており、ようやくプレイが実現しました。
こちらが箱の前面。
人が小指ほど小さく見えるまでに広がる原野に、いくつもの小隊が布陣されています。そして前にたたずんでいるのは傭兵隊長でしょうか。物語の始まりを感じさせてくれる素晴らしい絵。
戦場となるゲーム盤
イタリアの都市国家がズラリと並んでいます。紋章のある場所が戦場となり、プレイヤー同士の派遣を争います。こう見ると全然知らない地域もありますね。カッラーラは大理石の産出で有名らしい。
支配マーカー
最大6人用なので、6色のキューブが5個ずつ。全部で30個あります。
このマーカーを全てゲーム盤に置くか、隣接する地域に3つ置くことが勝利条件です。
戦場マーカー
ゲームの初めにスタートプレイヤーが戦場マーカーを任意の位置に置き、その土地をかけてラウンドを開始します。そのラウンドの勝者が支配マーカーを置き、次の場所を指定できます。各地域は多くが隣接しているので、うっかり変なところに支配マーカーを置くと、敵に塩を送る可能性もあります。盤面をしっかりと見極め、設置しましょう。
傭兵カード
ゲームの花形となる傭兵隊。左上に書かれている数値が戦力値となり、数値の合計で勝者を決めます。数値が高くなるにつれ、強力な武器になっていくところもなかなか良い。
枚数は1が10枚、その他が8枚ずつです。
特殊カード・コマ
傭兵カードと同様に、ラウンド中に場に出せるカード。
この6種類のカードは直接戦力値が増えるものは少ないですが、凄いシナジーを持つカードばかりです。
左上から、
偽部隊:場にある傭兵カードを手札に戻すことができる。現状に見切りをつけるときに使う。
鼓笛隊:場にある傭兵カードの戦力値を2倍にする。単純に強い。
寝返り:場に出した瞬間に戦闘が終わり、戦力値の計算に入る。遊戯王で言うところのバトルフェーダー。使うタイミングが超重要ですね。
ヒロイン:能力が戦力値10のみですが、のちに紹介する冬の到来と一緒に使うと強い。
スパイ:戦力値1と一見弱いですが、勝者の特権であるはずの次ラウンドの戦場マーカーを次に使うことができるので、お邪魔に最適。
司 教:場にあるすべての傭兵カードの内、一番数値の高いカードを捨て札にし、法王の庇護マーカー(白い鳥みたいなやつ)をまだ支配されていないエリアに置くことができ、その場所は戦場にならない。
これらのカードを上手に使うことが、勝利への近道となります。
春の目覚め・冬の訪れ
場に出された際、ボードゲーム上の所定の位置へ置かれ、全プレイヤーに影響を及ぼします。遊戯王で言うフィールド魔法みたいな感じ。
春の目覚めは、場にあるすべての傭兵カードの内、最も高い戦力値を持つカードの戦力値をさらに+3するカード。強いやつがさらに強くなる。とんでもない資本主義を見た。
冬の到来はそれとは逆に、場にあるすべての傭兵カードの戦力値が1になってしまいます。冬は平等なんですね…。
先ほどのヒロインは傭兵ではないので、戦力値は10のままなので注意です。
ちなみにこの2枚のカード。場には1枚しか出せないので、後から出したカードがそれまでのカードを上書きして効果を発揮します。相手の嫌がらせをするために、直ぐに上書きすのも手。
最初に配られるカードは10枚。良くカードゲームをプレイされる方が気になるのは、カードを引くタイミングですよね。なんとこのゲーム、ドロータイミングは「すべてのプレイヤーの手札がなくなった時」というかなり特殊なタイミングでのみ手札が補充されます。
ですので、いいカードが来たからと調子に乗って、バンバンカードを使ってしまうと他のプレイヤーがまだ余裕あるのに自分だけ手札が枯渇し、パスでお茶を濁す羽目になります。
この戦場を無理して制するか、それともあえて負けて次の機会をうかがうか。とてもジレンマ。
プレイしてみて
まだ数回しかプレイしていませんが、 ルールは単純なのに、なかなか奥深いゲームだなと感じました。
このゲームの特徴でもある、「全員の手札がなくなったら手札を補充する」というルールによって、ラウンドを経るごとに少なくなっていく手札に対して、どのようにアプローチを掛けていくかが非常に楽しく、我々の頭を悩ませていきます。
ただ単純に強いカードを出し続けてもジリ貧だし、後に取っておき過ぎても、他の人の手札が無くなれば強制的に場がリセットされてしまいます。相手の手札の枚数と顔色を見ながら勝負していく心理戦が楽しい です。
特殊カードもアクセントとして上手に機能しており、同じ展開のラウンドが生まれることは無いでしょう。奥の手を出そうとした直前に裏切りを出された時の悔しさと言ったらもぅ…。後は戦場にうめき声が響くのみ。ホント出す順番大事。
ゲームの性質上、ドロー運に左右される部分も多く、人によってはそこが好きじゃない人もいるかもしれませんが、逆にかっちりとした戦略性が組めないのもアドリブ性が高くて良いかなと思います。
そんな感じで偶然に手に入れた『傭兵隊長 新版』。棚ぼた的にとても面白いゲームと出会えたので、この幸運に感謝しながら、またプレイしたいと思います。
- 作者:ジェームズ・ウィルソン,岡和田 晃
- 発売日: 2019/07/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)